この記事の結論
- ヘラクレスオオカブトは世界最大級のカブトムシで、飼育下ではオス184.3mmという記録も残っている
- コーカサスオオカブトは適温15〜20度前後と暑さに弱く、日本の夏を越すには温度管理の工夫が必須
- グラントシロカブトは気温30度を超えると生きられないほど暑さに弱い、独特な体色の種類
- 外国産カブトムシも外国産クワガタと同じく、野外に絶対に放さないことが飼育の大前提
国産のカブトムシとは一味違う迫力やカラーリングを求めて、外国産カブトムシに興味を持つ方が増えています。
この記事では、外国産カブトムシの代表格であるヘラクレスオオカブトを中心に、コーカサスオオカブト、グラントシロカブトという人気3種の特徴と飼育のポイントを紹介します。
カブトムシとクワガタの基本的な違いについてはカブトムシとクワガタの違いをまとめた記事で、外国産クワガタについてはニジイロクワガタなど外国産クワガタを扱った記事でそれぞれ紹介しています。
ヘラクレスオオカブトの特徴と魅力
見た目、世界最大級のスケール感

ヘラクレスオオカブトは、中央アメリカから南アメリカ、小アンティル諸島にかけて分布するカブトムシです。
飼育下ではオス184.3mm、野外でも172.7mmという個体が確認されている、世界最大級の甲虫として知られています。
メスは50〜82mmほどで、オスのような長い角は持ちません。
体長の半分近くを占めることもある長い角は、亜種によって形状が異なります。
ヘラクレスヘラクレスやヘラクレスリッキーといった亜種名で流通することも多い品種です。
飼育のポイント
ヘラクレスオオカブトの幼虫期間は、朽木や腐葉土に近いマットの中でおよそ1年半〜2年ほどかかります。
メスは1年〜1年半、オスは1年半〜2年と、性別によっても差があります。
飼育温度が高いほど幼虫期間は短くなる傾向がありますが、急かして高温にしすぎると体調を崩す原因にもなるため、25度前後を目安に安定させるのが無難です。
体が大きい分、幼虫飼育には深さ・容量ともに余裕のある大型ケースと、たっぷりのマットを用意する必要があります。
成虫の寿命は半年〜1年ほど、環境がよければ1年を超える個体もいると、国産カブトムシの1〜3ヶ月程度と比べてかなり長生きする点も大きな特徴です。
エサは高タンパクな昆虫ゼリーを中心に与え、力が強くケンカで傷つけ合うこともあるため、成虫は1ケースに1匹の単独飼育が基本です。
他にも人気の外国産カブトムシ
コーカサスオオカブト
コーカサスオオカブトは、スマトラ島やジャワ島、マレー半島、インドシナ半島の標高800〜2000m前後の高地に生息するカブトムシです。
頭部に1本、前胸背板に2本、合計3本の角を持つ姿が最大の特徴です。
大型個体では、さらに小さな突起が加わることもあります。
オスは75〜133mm、メスは40〜67mmほどで、130mmを超える大型個体も存在します。

高地出身のため適温は15〜20度前後と暑さに弱く、日本の夏をそのまま過ごさせるのは危険です。
クーラーの効いた部屋や、昆虫用のクールユニットなどを使った温度管理が欠かせません。
気性も荒く、同種同士を同じケースに入れると殺し合ってしまうこともあるため、雄雌ともに単独飼育が基本です。
幼虫は腐葉土よりも朽木で育てたほうが大型化しやすいといわれています。
グラントシロカブト
グラントシロカブトは、アメリカ合衆国西部のアリゾナ州・ユタ州・コロラド州・ニューメキシコ州や、メキシコ北部のチワワ州・ソノラ州に分布するカブトムシです。
背面全体が淡い鼠色から乳白色を帯びた体色をしており、褐色や黄色みを帯びる個体もいる、他のカブトムシとは一線を画す見た目が魅力です。

体長はオスで35〜85mm程度、メスは32〜51mmほどと幅があり、個体差の大きい種類です。
グラントシロカブトで特に注意したいのは、気温30度を超えると生きられないほど暑さに弱いという点です。
日本の夏場はほぼ冷房管理が前提になるため、外国産カブトムシの中でも飼育の難易度はやや高めといえます。
幼虫期間はオスの大型個体で約15ヶ月、中型・小型個体では約1年が目安です。
幼虫飼育の勘所、マット・菌糸ビン・材飼育のどれを使う?

外国産カブトムシの幼虫飼育は、基本的には栄養価の高い発酵マットを使うのが一般的です。
クワガタの大型個体づくりでよく使われる菌糸ビンは、カブトムシの幼虫にはあまり用いられません。
マットと菌糸ビンそれぞれの特徴の違いは幼虫飼育の基本、マット飼育と菌糸ビン飼育の違いを扱った記事で詳しく紹介しています。
ヘラクレスオオカブトのように体が大きく育つ種類は、幼虫1匹あたり8〜14L程度の容量がある大型ケースを用意し、深さ20cm前後までしっかりマットを詰めておくと安心です。
マットが浅かったり容器が小さかったりすると、蛹になるための部屋(蛹室)をうまく作れず、羽化不全につながることがあります。
マットの選び方にも種類ごとの傾向があり、ヘラクレスオオカブトは栄養価の高い発酵の進んだマットで問題なく大きく育ちます。
一方でコーカサスオオカブトは、腐葉土に近いマットよりも、広葉樹の朽木を砕いたようなマットの方が大型化しやすいといわれており、購入時にパッケージの原材料表示を見比べてみる価値があります。
なお、朽木をそのままエサにする「材飼育」という育て方は、主にクワガタの一部の種類に向いた方法です。
詳しくは材飼育のやり方を扱った記事で紹介しているので、クワガタも一緒に飼っている方はあわせて参考にしてください。
外国産カブトムシを飼うときに気をつけたいこと
体重のあるヘラクレスオオカブトやコーカサスオオカブトは、ケースの中で暴れると自分の体重で転倒し、そのはずみでフタの爪が外れてしまうことがあります。

フタのロック部分が薄いプラスチック製のケースだと、大型個体の力に負けて変形してしまうこともあるため、購入時は爪の厚みや素材の頑丈さも見ておきたいポイントです。
フタの隙間から脱走してしまったときの探し方は脱走対策を扱った記事で詳しく紹介しています。
もうひとつ知っておきたいのが、輸入されたワイルド個体(WD)と、日本国内で複数世代累代された国内ブリード個体(CB)の違いです。
ワイルド個体は現地の気候にそのまま慣れているため、日本の気温変化に敏感に反応することがあります。
一方、CB個体は日本の飼育環境にある程度適応しているぶん、初めて外国産カブトムシに挑戦する方でも扱いやすい傾向にあります。
購入時にショップへ「累代個体か、輸入個体か」を尋ねておくと、温度管理の力の入れ具合を判断する材料になります。
体の大きなカブトムシほど、万が一逃げ出したときの捜索も難航しやすく、外国産の個体が野外に定着すれば在来の生態系に影響するおそれもあります。
最後まで責任を持って飼いきる、または信頼できるショップに引き取りを相談することを忘れないでください。
まとめ、外国産カブトムシを飼うなら最初の1匹はどれがいい?
ここまで紹介した3種類は、それぞれ異なる魅力と飼育の難しさを持っています。
圧倒的なサイズ感を楽しみたいなら、比較的温度管理がしやすいヘラクレスオオカブトが最初の1匹に向いています。
3本の角の迫力を楽しみたいならコーカサスオオカブト、他にない独特な体色に惹かれるならグラントシロカブトが選択肢になります。
どちらも暑さへの耐性が低いため、温度管理の手間を許容できるかを事前によく考えておきましょう。
どの品種を選んでも、出身地に近い温度で管理し、頑丈なフタで脱走を防ぎながら、最後まで自分の手で飼いきることが、外国産カブトムシと長く付き合うための一番の心構えです。
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