この記事の結論
- 幼虫飼育には「マット飼育」と「菌糸ビン飼育」の2つの方法がある
- マット飼育はコストが安く扱いやすい、菌糸ビン飼育は栄養価が高く大型化しやすい傾向がある
- カブトムシは基本的にマット飼育、クワガタは種類によってマットと菌糸ビンを使い分ける
- どちらの方法でも、個別の容器に1匹ずつ分けて飼うのが基本
産卵セットを組んでからしばらく経つと、マットの中に小さな幼虫が育っていることがあります。
産卵セットからマットごと取り出す「割り出し」の作業を終えたら、次はいよいよ幼虫飼育のスタートです。
幼虫飼育の方法を調べ始めると、必ずといっていいほど出てくるのが「マット飼育」と「菌糸ビン飼育」という2つの言葉です。
この記事では、初めて幼虫を育てる人向けに、この2つの飼育方法の違いと選び方を整理します。
なお、産卵セットの組み方については産卵セットの組み方を扱った記事で、割り出しの手順については産卵セットの割り出し方を扱った記事で、それぞれ扱っています。
また、飼育ケースや成虫用マットの基本的な選び方については、飼育ケース・マットの選び方をまとめた記事でも紹介しています。
そもそもマットと菌糸ビンは何が違うのか
幼虫飼育でエサとなるのは、大きく分けて「マット」と「菌糸ビン」の2種類です。
どちらも見た目は似ていますが、成り立ちや幼虫に与える影響がかなり異なります。
マット飼育の特徴

マット飼育で使うのは、広葉樹の朽木を発酵させた「発酵マット」です。
幼虫はこのマットを食べて育ちながら、糞をして排出していきます。
価格が比較的安く、においも控えめで扱いやすいため、初めて幼虫飼育に挑戦する人に向いています。
マット飼育のメリットは、価格が安く扱いが簡単なことです。
専用の道具もほとんど必要なく、気軽に始められます。
菌糸ビン飼育の特徴

菌糸ビンは、広葉樹のオガクズにキノコの菌(カワラタケやオオヒラタケなど)を植え付けて培養したものです。
菌によって木材が分解され、栄養価の高い状態になっているため、幼虫が大きく育ちやすいといわれています。
マットに比べて価格は高く、温度管理を誤ると菌の状態が劣化しやすいという扱いにくさもあります。
菌糸ビンのデメリットは、価格が高く温度管理の手間がかかることです。
高温多湿の環境では菌が弱ったり、逆に劣化したカビが優勢になったりすることがあります。
マット飼育と菌糸ビン飼育の比較早見表

ここまでの内容を、価格・交換頻度・大型化のしやすさといった軸で比べると、次のようになります。
| 比較する項目 | マット飼育 | 菌糸ビン飼育 |
|---|---|---|
| 価格帯の目安 | 10L約1,000円前後(ボトル1本換算で約100〜150円) | 1本(800〜1500ml)あたり500〜1,000円程度 |
| 交換頻度 | 2〜3ヶ月に1回程度 | 1.5〜2ヶ月に1回程度 |
| 大型化のしやすさ | 標準的なサイズに育てやすい | 栄養価が高く大型を狙いやすい |
| 温度管理の手間 | 比較的おおらかで扱いやすい | 高温多湿で劣化しやすく、管理がシビア |
| 初心者への向き不向き | 向いている(まずはここから) | 扱いに慣れてから挑戦したい |
1年あたりのコストで比較すると、マット飼育は10Lのパック(1,000円前後)を複数回分の容器交換に使い回せるため、年4〜6回の交換でも合計は数百円程度に収まることが多くなります。
一方、菌糸ビン飼育は1本500〜1,000円のボトルを年6〜8回交換するため、年間では3,000〜8,000円程度とマットの数倍〜十倍以上のコストになる計算です。
価格は購入する容量やメーカーによって変動するため、あくまで目安として捉えてください。
迷ったら、まずはコストの低いマット飼育から始めて、慣れてきたら菌糸ビンを試すという進め方でも十分です。
カブトムシとクワガタでの違い、どちらを選ぶべきか
マットと菌糸ビン、どちらを選ぶべきかは、飼っている種類によって答えが変わります。
カブトムシの場合
カブトムシの幼虫は、腐葉土に近い環境を好む性質があり、基本的にはマット飼育で十分です。
菌糸ビンで飼育する例もありますが、一般的な家庭飼育であればマットで大きな問題なく育てられます。
クワガタの場合
クワガタは種類によって、マット飼育が向くものと菌糸ビン飼育が向くものに分かれます。
ノコギリクワガタやミヤマクワガタなどはマット飼育でも十分に育ちますが、オオクワガタやヒラタクワガタなど大型化を狙いやすい種類は、菌糸ビンを使う飼育者が多い傾向にあります。
これは、より大きな個体を目指すほど幼虫期に必要な栄養量が増えるため、栄養価の高い菌糸ビンとの相性が良いと考えられているためです。
幼虫飼育を始めるときの準備、容器と置き場所

マットにしても菌糸ビンにしても、幼虫は1匹ずつ個別の容器に分けて飼育するのが基本です。
複数の幼虫を同じケースに入れると、共食いをしたり、エサを奪い合ってストレスを受けたりすることがあるためです。
容器はプリンカップのような小型のものから、成長に合わせて800ml〜1500ml程度のボトルへと替えていくのが一般的な流れです。
置き場所は、産卵セットのときと同様に、直射日光や急激な温度変化を避けた場所を選びます。
幼虫飼育に適した温度はおおむね20〜25度程度で、真夏の高温や真冬の低温が続く環境では成長が乱れたり、体調を崩したりしやすくなります。
幼虫飼育で最初に知っておきたい注意点
幼虫飼育を始めたばかりのころは、ボトルの外から幼虫の様子を頻繁に確認したくなりますが、必要以上にケースを揺らしたり移動させたりするのは避けましょう。
マットや菌糸ビンは時間とともに劣化していくため、一定の期間ごとに新しいものへ交換する必要があります。
交換のタイミングを見極めるには、幼虫の体重を測って成長の様子を確認するのが効果的です。
体重測定の具体的な方法や、エサ交換のコツについては、体重測定とエサ交換を扱った記事で詳しく解説しています。
今日のアクション
- 飼っている品種がマット向きか菌糸ビン向きか調べる
- 幼虫を1匹ずつ個別の容器に分ける準備をする
- 置き場所の温度が20〜25度に収まっているか確認する
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