この記事の結論
- 割り出しの目安は産卵セットを組んでから1ヶ月〜1ヶ月半、焦って早く掘り返すと逆効果になりやすい
- バット・スプーン・ティッシュなど、事前に道具を揃えておくと作業がスムーズに進む
- 卵や初齢幼虫はデリケート、指で直接つままず周りのマットごとすくうのが基本
- 割り出した幼虫は個別の容器へ、卵はしばらく静置して孵化を待つのが安全
産卵セットを組んでからしばらく経つと、実際に卵や幼虫が育っているのか気になってくる時期がやってきます。
その卵や初齢幼虫をマットの中から取り出す作業が「割り出し」です。
やり方を知らないまま手探りで進めると、せっかくの卵や幼虫を傷つけてしまうこともあります。
この記事では、割り出しに適したタイミングから、必要な道具、卵・幼虫を傷つけないための手順とコツまでを整理します。
産卵セットの組み方は産卵セットの組み方を扱った記事で、割り出したあとの幼虫飼育の進め方は幼虫飼育の基本を扱った記事でそれぞれ詳しく紹介しています。
割り出しとは何か、いつ行うか
割り出しとは、産卵セットのマットをほぐしながら、中に産みつけられた卵や孵化したばかりの初齢幼虫を探し出し、別の容器に取り出す作業のことです。
産卵セットのマットにそのまま放置しておくと、あとから生まれた幼虫同士がぶつかり合ったり、親の成虫が誤って卵や幼虫を傷つけてしまったりすることがあります。
卵や幼虫を安全な環境へ移し替えるために、割り出しという工程が必要になります。
割り出しのタイミングの目安
目安となるのは、産卵セットを組んでから1ヶ月〜1ヶ月半ほど経ったタイミングです。
この期間があれば、メスが産卵をひと通り終え、早い卵は孵化して初齢幼虫にまで育っていることが多くなります。
ケースの側面から白い糞の粒や食べかすのようなものが見えたり、マットの表面に細かい穴が確認できたりすると、割り出しに適した時期が近づいているサインです。

カブトムシはクワガタに比べて成長が早く、暖かい時期であれば1ヶ月ほどで初齢幼虫が確認できることもあります。
一方でクワガタは種類によって産卵から孵化までの期間に幅があり、1ヶ月半近くかかることも珍しくありません。
焦って早く掘り返さない方がいい理由
卵の様子が気になるあまり、セットを組んで数日〜1週間ほどで掘り返してしまう方もいますが、これはおすすめできません。
早すぎるタイミングで掘り返すと、産みつけられたばかりの卵を見落として一緒に崩してしまったり、まだ産卵中のメスを驚かせて途中で産卵をやめさせてしまったりすることがあります。
結果として卵の数そのものが減ってしまうため、最低でも1ヶ月は様子を見るのが安全です。
卵や産卵の様子は普段の飼育ケースの外からはほとんど確認できないため、決めたタイミングまでは静かに見守るのが結局は近道になります。
割り出しに必要な道具
割り出しをスムーズに進めるために、あらかじめ次のような道具を用意しておきましょう。
大きめのバットや衣装ケースのフタなど、マットを広げられる平らな容器があると作業がしやすくなります。
プラスチック製のスプーンや使い捨てのスコップは、マットを少しずつすくい取るのに便利です。
卵をつまむ場面では、指の腹よりもやわらかいティッシュや脱脂綿を使うと力加減の調整がしやすくなります。
見つけた初齢幼虫や卵を一時的に入れておく、小さめのプリンカップや空き容器もいくつか用意しておくと安心です。
幼虫を移し替える先の新しいマットや菌糸ビンも、作業を始める前に準備しておくとスムーズに進みます。
マットと菌糸ビンの違いや選び方は幼虫飼育の基本を扱った記事で詳しく紹介しています。

割り出しの手順
マットを少しずつ崩していく
まずは、産卵セットのケースをひっくり返すようにして、中身のマットをバットの上に取り出します。
一気に大きく崩すのではなく、表面から少しずつ、手のひら1つ分くらいの量ずつマットを崩していくのが基本です。
崩したマットは元の場所に戻さず、確認済みの山として脇によけておくと、同じ場所を何度も探す手間を防げます。
クワガタの産卵木を使っていた場合は、木の内部にも卵や幼虫が入り込んでいることがあるため、割り箸などで慎重にほぐしながら確認します。
卵を見つけたときの扱い方
卵は白っぽく丸みを帯びた、直径2〜3mmほどの小さな粒として見つかります。
これは産みたての大きさで、孵化が近づくと水分を吸ってひと回り大きく、丸くなっていきます。
すくい取った卵は、湿らせたマットを薄く敷いたプリンカップなどに、周りのマットごとそっと移します。

卵の上下の向きを気にする必要はありませんが、無理に転がしたり位置を直したりせず、見つけた状態のまま静かに置いておくのが安心です。
初齢幼虫を見つけたときの扱い方
孵化したばかりの初齢幼虫は、体長数mm程度と非常に小さく、体が白く透き通っています。
この時期はまだ体が柔らかいため、卵と同じように指でつまむのは避けましょう。
柔らかい筆やスプーンを幼虫の下にそっと差し込み、すくい上げるようにして容器へ移すと、体を傷つけずに済みます。
まれに、幼虫が自分から出てきたマットの穴の中でじっとしていることもあります。
その場合は無理に引っ張り出そうとせず、周りのマットごとすくい取ってから、あとで幼虫だけを取り分けるとよいでしょう。
卵・幼虫を傷つけないための注意点
無精卵・カビが生えた卵の見分け方
見つけた卵の中には、孵化しない無精卵が混じっていることがあります。
正常な卵は白くつやのある丸い形をしていますが、日数が経っても色が変わらずしぼんできたり、表面がへこんでしまったりする卵は無精卵の可能性が高いといえます。

明らかにカビが生えていたり、変色して縮んでしまっている卵はどうすればいいですか。
残念ながら孵化はほぼ期待できないため、他の卵にカビが移らないよう別の容器に分けるか、取り除いておくのが無難です。
見た目だけで判断が難しい場合は、無理に取り除かずしばらく様子を見ても構いません。
乾燥・直射日光を避ける
割り出し作業中、バットの上に取り出したマットや卵は、思っている以上に早く乾燥していきます。
作業は直射日光の当たらない室内で行い、長時間かけすぎないことも大切なポイントです。
目安として、1つの産卵セットあたり30分〜1時間程度で作業を終えられるよう、あらかじめ道具を揃えてから取りかかると安心です。
気温が高い時期は、霧吹きで軽く湿らせたマットの上に一時的に卵や幼虫を置いておくと、作業中の乾燥を防ぎやすくなります。
割り出し後の管理、個別容器への引っ越し
割り出しが終わったら、卵と幼虫はそれぞれ別々に管理していきます。
卵は、湿らせたマットを薄く敷いたプリンカップなどに数個ずつまとめて置き、フタをして直射日光の当たらない場所で静置します。
孵化までの目安は、産卵からカブトムシで2週間前後、クワガタは種類によって2〜4週間ほどです。
割り出しの時点で産んでから日がたった卵なら数日で孵ることもありますが、産みたての卵はそれだけ時間がかかるため、焦らずに見守りましょう。
一方、初齢幼虫は共食いやエサの奪い合いを避けるため、1匹ずつ個別の容器に分けて飼育するのが基本です。
小さな幼虫にはプリンカップ程度の容器で十分ですが、体が成長するにつれて、より大きなボトルへ移し替えていく必要があります。
マット飼育と菌糸ビン飼育、それぞれの選び方と交換の目安については幼虫飼育の基本を扱った記事で詳しく紹介しています。
置き場所の温度は20〜25度前後を目安に、産卵セットのときと同じく直射日光やエアコンの風が直接当たらない場所を選びましょう。
まとめ
割り出しは、産卵セットを組んでから1ヶ月〜1ヶ月半という目安を守るだけで、多くの失敗を避けられる作業です。
卵や初齢幼虫はデリケートなので、指で直接触れず周りのマットごとすくうという基本さえ押さえておけば、それほど難しい作業ではありません。
乾燥を避けながらてきぱきと作業を進め、割り出したあとは卵と幼虫を分けて、それぞれに合った環境で見守ってあげてください。
今日のアクション
- 産卵セットを組んだ日から1ヶ月〜1ヶ月半経っているか確認する
- バット・スプーン・プリンカップなど割り出しに必要な道具を揃える
- 卵・初齢幼虫を見つけたら、周りのマットごとすくって傷つけないように移す
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