この記事の結論
- 材飼育は、マットや菌糸ビンではなく朽木をそのまま幼虫のエサとすみかにする、自然に近い育て方
- 交換の頻度が少なく手間がかからない反面、幼虫の成長の様子を目で確認しづらいのが弱点
- ノコギリクワガタ・コクワガタ・アカアシクワガタなど、自然界で朽木をすみかにする種類との相性がよい(ミヤマクワガタはマット飼育が基本)
- オオクワガタ・ヒラタクワガタの大型狙いには、栄養価の高い菌糸ビンの方が向いている
クワガタの幼虫飼育というと、マット飼育や菌糸ビン飼育を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
実はこの2つ以外に、朽木をそのままエサとすみかにする「材飼育(朽木飼育)」という第3の選択肢があります。
この記事では、材飼育のやり方と、マット飼育・菌糸ビン飼育との違い、向いている種類について紹介します。
マット飼育と菌糸ビン飼育の基本的な違いは幼虫飼育の基本、マット飼育と菌糸ビン飼育の違いを扱った記事で、産卵セットの組み方は産卵セットの組み方を扱った記事で紹介しています。
材飼育とは、朽木をそのままエサにする育て方

マット飼育・菌糸ビン飼育との違い
マット飼育は発酵マットを、菌糸ビン飼育はキノコの菌を培養したオガクズを幼虫のエサにします。
材飼育は、これらを使わず、加水させた朽木(産卵木)そのものを幼虫のエサとすみかにする点が大きく異なります。
幼虫は木の中に自分でトンネルを掘り進みながら育っていくため、自然界での育ち方に最も近い方法だといわれています。
3つの方法を比較すると、次のようになります。
| 比較する項目 | マット飼育 | 菌糸ビン飼育 | 材飼育 |
|---|---|---|---|
| エサ・すみか | 発酵マット | 菌を培養したオガクズ | 加水した朽木そのもの |
| 交換頻度 | 2〜3ヶ月に1回程度 | 1.5〜2ヶ月に1回程度 | 半年に1回程度 |
| 成長の見えやすさ | 容器越しにある程度見える | 容器越しにある程度見える | 木の中にいるため見えにくい |
| 大型化のしやすさ | 標準的なサイズに育てやすい | 栄養価が高く大型を狙いやすい | 自然なサイズになりやすい |
どんな朽木を使うのか
材飼育で使う朽木は、クヌギやコナラなど広葉樹の産卵木を使うのが一般的です。
産卵セット用に販売されている産卵木をそのまま流用できるため、専用の道具をあらためて揃える必要がないのも扱いやすい点です。
産卵木は1本あたり300〜600円程度で販売されていることが多く、複数本まとめて購入すればさらに単価を抑えられます。
菌糸ビンのように定期的な買い替えが頻繁ではないため、飼育している幼虫の数が多いほどコスト面でのメリットも大きくなります。
材飼育のやり方、基本の手順
朽木の下ごしらえ

まず、乾燥した産卵木を水にしっかり浸けて加水します。
目安として、半日〜1日ほど水に沈めておくと、木の芯まで水分が行き渡ります。
加水を終えたら、飼育ケースに収まるサイズにのこぎりでカットします。
樹皮を軽く剥がしておくと、幼虫が食べ進みやすくなります。
セッティングと管理

下ごしらえした朽木をケースに並べ、隙間を発酵マットで埋めるようにセットします。
幼虫を木の中央あたりに置いてあげると、そのまま自分で潜っていってくれることがほとんどです。
産卵セットから割り出したばかりの若い幼虫は、いきなり硬い材に潜らせるより、1〜2週間ほど発酵マットで育ててから材に移す方が定着しやすいといわれています。
置き場所は、直射日光や急激な温度変化を避けた、20〜25度程度を保ちやすい場所を選びます。
もし幼虫が材から出てきて周りのマットの上をうろついていたら、エサ不足や材の劣化のサインです。
その場合は無理に押し戻さず、新しい加水済みの材を近くに置いてあげれば、自分のタイミングで再び潜っていきます。
交換のタイミングと見極め方

朽木は幼虫が食べ進むにつれて内部が木くず状に変化していきます。
ケースの外側から見て木くずの量が増えてきたら、新しい朽木への交換のサインです。
マットや菌糸ビンに比べて劣化のスピードがゆるやかなため、交換の頻度は半年に1回程度、幼虫1匹あたり年1〜2本で済むことが多くなります。
材飼育に向いている種類、向いていない種類
向いている種類
自然界でも朽木を主なすみかにしている、ノコギリクワガタ・コクワガタ・アカアシクワガタなどは材飼育との相性が良好です。
一方、ミヤマクワガタの幼虫は朽木よりも土に近い腐植質の中で育つため、材飼育ではなく腐葉土に近いマットで育てるのが一般的です。
これらの種類は、栄養価よりも自然に近い環境の方がのびのびと育ちやすい傾向にあります。
目安として、幼虫1匹につき直径10cm前後の産卵木を1本用意し、成長して食べ尽くしてきたら14cm前後の太い材にもう1本追加する、という進め方がわかりやすい流れです。
ケースは幼虫1匹あたり1.5〜3L程度の小型〜中型サイズで十分収まることが多く、菌糸ビンのような専用ボトルを追加購入する必要がありません。
気になるのが年間のコストです。
幼虫飼育の基本を扱った記事で紹介した菌糸ビン飼育は、1本500〜1,000円のボトルを年6〜8回交換するため、年間3,000〜8,000円程度かかる計算でした。
一方、材飼育は1本300〜600円の産卵木を年1〜2本交換する程度で済むことが多く、年間300〜1,200円ほどに収まります。
複数の幼虫を同時に育てるほど、材飼育とのコスト差は大きく開いていきます。
向いていない・工夫が必要な種類
一方、オオクワガタやヒラタクワガタのように大型個体を目指したい種類には、材飼育はあまり向いていません。
材飼育でも育てること自体は可能ですが、栄養価がマットや菌糸ビンほど高くないため、自然界に近い標準的なサイズに収まりやすい傾向にあります。
コンテストサイズのような特大個体を狙いたい場合は、栄養価の高い菌糸ビン飼育を扱った記事で紹介している方法の方が効率的です。
また、カブトムシの幼虫は木を食べる性質を持たないため、材飼育の対象にはなりません。
カブトムシの幼虫は、基本的にマット飼育で育てます。
材飼育のメリット・デメリット
材飼育のメリットは、交換の手間が少なく、見た目も自然で観賞価値が高いことです。
産卵木をそのまま使えるためコストも比較的抑えやすく、忙しい人にも向いています。
デメリットは、木の中の幼虫の成長を目で確認しづらいことです。
体重を測って成長を確認する体重測定の方法も使いにくく、羽化までの見通しを立てにくい点は理解しておく必要があります。
まとめ、こんな人に材飼育がおすすめ
材飼育は、こまめな交換や体重測定よりも、自然に近い環境でのんびり見守りたい方に向いた育て方です。
ノコギリクワガタやコクワガタを飼っている方は、マットや菌糸ビンと並ぶ選択肢として検討してみる価値があります。
一方で大型個体を目指したい場合は、栄養価の高い菌糸ビン飼育の方が向いていることも覚えておきましょう。
飼っている種類や自分の目標に合わせて、3つの方法を使い分けてみてください。
今日のアクション
- 飼っている種類が材飼育に向いているか調べる
- 産卵木を加水し、飼育ケースに収まるサイズにカットする
- 菌糸ビン飼育と材飼育、どちらが年間コストに合っているか計算してみる
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